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BABYMETAL試論と小中千昭氏のトークショー

BABYMETAL試論という、BABYMETAL研究本のレビューを。


加えて、下北沢で10/3に行われた、著者である小中千昭氏のトークショーの模様なども。

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BABYMETAL試論

BABYMETAL試論という、BABYMETALファンの間ではそこそこ有名なブログがある。


書き手の小中千昭氏は、本業は脚本家のようだが、BABYMETAL好きが高じて、その底知れぬ魅力を解析するこのブログを立ち上げ、一時期は精力的に更新を行っていた。小中氏もNHKのBABYMETAL現象を見て強く興味を持った様で、その点が自分と同じであることもあって勝手に親近感を持っていた。


ただ、今年の夏前あたりから、1ヶ月以上更新が滞っていた。どうしたのかと気にしていたら、久々の更新で、ブログにある内容がそのまま書籍化されることが明かされた。つまり、ブログの更新より書籍化のために時間を費やしていたのである。


良くブログを見ていた身としては、本になっても内容は同じなのだからあまり有難味はなかったが、書き下ろした箇所もあるようなので、購入をした。


この本は、BABYMETALに関する様々なリソース(作品、ファンカム、書籍等)を元に、著者であり熱烈なBABYMETALファンである脚本家の小中千昭氏が、なぜ自身も含めた世界中の人々が心を奪われているのかを、文字通り試しに論じた本である。


BABYMETALの入門書では決してないが、著者がBABYMETALにハマる過程などがリアルに書かれていることもあり、BABYMETALの事をあまり知らない人が読んでも十分に楽しめる内容だと思う。BABYMETALにどハマりしたおじさんが、その魅力をどうにかロジカルに分析しようとして更に深みにハマっていく様を、自身も同じような道を辿ったであろう多くのメイト(BABYMETALファンはこう呼ばれている)は追体験できる。そんな本でもある。


主な内容として、1stアルバムの各楽曲について、非常にマニアックで細かい話が散りばめられており、書評としてそれぞれの箇所について言及しているときりがない。膨大な資料を見聞きした上で書かれているようで、読み応えが尋常じゃない。


AメロだのBメロだの、リフがどうだだの、専門的な用語も多くて若干読むのが大変が、勉強するつもりで読めば知識が広がるのは請け合いだ。著者の博識ぶりによりBABYMETALだけでなくその周辺の知識も学べる。


・・・と、キリがないので書評はここまでにしておく。


この本、一言で言えば、酔狂なベビメタファンの誇大妄想本である。ただ、妄想と言っても分析的で妙に説得力があるのだが。。




トークショー

そんな小中氏のBABYMETAL試論刊行記念トークショーが、10/3に下北沢のB&Bという本屋で行われるのを知り、行ってきた。下北沢は久しぶりに行ったが、家から自転車で15分くらいと実はかなりの近場だったことが判明。意外だった。まあ、普段は行くことないような場所なので、だから何と言うことはないのだが。


B&Bという本屋は、階段を上がった2階にある小規模な本屋で、厳選された本が狭い店内にオシャレに並べてあるような特殊な感じのお店でだった。一体どんな人が買いに来るのだろうか?普段、アマゾンやジュンク堂しか利用しない自分にとっては、 逆に新鮮だった。店内の半分くらいを使ったイベントスペースには100人くらいは参加者が居たと思う。前売りのチケットが売り切れていたようで、満員御礼とのこと。料金は1500円+ワンドリンクということで、ビールを飲みながら始まりの時を待つ。


暫くして、ギミチョコの音をバックに小中氏が登場。最初から申し訳なさそうにしていたのが印象的だった。何でも、本を出した瞬間から、取り返しのつかないことしたのではとの自責の念で、ずっと鬱なのだそうな・・w。


見た目は茶色掛かったロン毛で小太り、ベビメタTを着たおっちゃんで、如何にも映像や音楽などの方の業界人っぽい感じの方だ。ご本人は、30代のBABYMETALファンからは敵視されていると言っていたが、30代である自分は敵視してませんよ・・。もう少しインテリっぽい方だと勝手に想像していたが、見た目や話し方の印象としては、全くそうではなかった。


小中氏は、東京ドーム公演は、横アリ、wembleyのLVにに続いて3回目。ちなみに、BABYMETAL界隈ではそこそこ有名人な筈である氏でも、THE ONEの東京ドーム公演の抽選には2日とも外れてしまったようで、後輩のチケットで連れてきてもらったそうだ。マイクロラゲージもミニギターも買ったらしいのだが、その辺りは容赦ないな~と素直に同情した。自分は幸いにも両日当たったのだが、もし外れていたらどうしてただろうか・・・。


トークのお相手は音楽評論家の円堂都司昭氏。


氏は、2013年のサマソニでBABYMETALを見てから、ずっと注目していたとのこと。その後の、2013年のSU-METAL生誕祭や2014年のの武道館、幕張も参戦したそうなのだが、2015年の新春キツネ祭りでRoRを聞いて、ちょっと真面目過ぎて引いてしまい、その後はずっと遠ざかっていて、東京ドームが久しぶりのBABYMETAL公演だったようだ。


BABYMETALとは関係ないが、円堂氏は、クイーン+アダム・ランバートの武道館公演に行ったそうだ。感想は、フレディーマーキュリーなき今、あのポジションでやれる人は彼しかいないとのこと。音楽評論家の口から聞くと妙に説得力がある。アダム・ランバートはゲイとして知られているが、フレディも同類である。歌い方は違うが、性根に、共通したゲイ独特のユーモアやセンスが垣間見える、という分析には、妙に納得してしまった。


また、円堂氏はBABYMETALが出てくる何年か前に、XとPerfumeのマッシュアップ動画を見て感心していたらしい。そして、BABYMETALのドキドキモーニングを初めて聞いた時に、実際に本当にやる人がでてきたー、という感じで食いついたとのこと。


※早速家に帰ってYouTubeを漁ってみたが、恐らくこれの事だと思う。確かにBABYMETALに通ずるものがある。。


自分が以前に見たことのあるこのサイトの情報によると、KOBAMETALはBABYMETALの曲をマッシュアップ的な技法で作っていると述べている。接点などないであろう音楽評論家の円堂氏とBABYMETALの天才プロデューサーであるKOBAMETALの、面白い共通点が発覚し、とても興味深かった。



途中からは、ライターの柴那典さんという方も飛び入りで参加。柴氏は何度かBABYMETALの3人やKOBAMETALにインタビューをしたことがあるとのこと。ヘドバンをはじめ、BABYMETALの記事をいっぱい書いている方だそうだ。直近では今年の4月に新アルバムの発表時のインタビューで3人と話したらしい。


すかさず小中氏が、リアルな3人はどうなのか?と聞いていたが、なんでも、柴氏が受けた印象としては、3人ともメチャクチャに真面目らしい。それはもう、ビックリするくらいに。今風に言えば、超意識が高いのだそう(笑)。特に意識が高いのがSU-METALで、キャラは抜けているけど、それを補わんばかりの意識の高さだそうだ。YUIMOAの2人も、インタビュー中にわちゃわちゃすることなどもなく、真面目そのものなのだとか。あくまでインタビュー時に限った印象ではあるが。


小中氏はインタビューを読む側だが、この頃、ニューアルバム発表時のインタビューが多数の雑誌に載っていた中で、殆どどれも同じようなテンプレート的な受け答えだったことを気にしていたが、柴氏がその裏側に言及していたのが面白かった。


何でも、インタビューはある特定の日にまとめて行うのだそうで、例えば朝の10時から夕方までの8時間で、1時間ずつ8社から受けたりするらしいのだ。アルバム発表時のインタビューなどは、各社で聞くことがどうしても被ってしまうので、テンプレート的に思えてしまうのは仕方のないことだそうだ。


柴氏は、年末のレッチリのサポートアクトでBABYMETALが同行することについて、興味深い自論を展開。何でも、今はメタルファンのものであるBABYMETALを、より分母の大きいロックファンのために、その場でお披露目するのが目的ではないのかと。レッチリが属するQPrimeというツアーマネイジメント会社の話と絡めて話していた。


そして柴氏は遂にはグラミー賞の話まで。ノミネートされるとしたら、ベストメタルパフォーマンス賞以外は有り得ず、前回はGhost、その前はテネイシャスDなので、その程度!?でもokなら、今のBABYMETALでも話題性、規模間で十分な位置におり、少なくともノミネートは射程圏内らしい。




※まあでも、↑こんなのが受賞するくらいなら、正直大した賞じゃない気さえしてきますが・・。グラミー賞という箔が付くのは良いコトかもしれない。


更に柴氏の分析的で説得力のある語り口調の話が続く。


アメリカという国の現状として、今はロックの国ではないそうだ。ヒップホップとR&Bしかほぼメインストリームにはないらしい。イギリスの方がロックに関してはメインストリームに生き残っているようなのだ。


アメリカはSlipknot以降、ロック・メタル系では特に大きな動きがない。Slipknotはアメリカのスクールカーストで言うとフローターと呼ばれるカースト外の不思議ちゃん系に好まれる方向性の音楽であり、同様の方向性であるBABYMETALもアメリカで十分に居場所があると考えているのだそう。


それでも、アメリカという国は特殊で、YouTubeに上げればそれで火が付くヨーロッパや南米とは違い、その州の中のことにしか興味がない人が沢山いる国なのだそう。従って、今年もBABYMETALはアメリカツアーを行ったが、あと2回は周る必要があるとのではないかとのこと。


会場開場には、カネコシュウヘイさんという、BABYMETALの別の本を書いている方も来られていて、紹介されていた。




最後にお客さんからの質問コーナーが。


Q:BABYMETALはあと何年位続けそうか?

A:楽観視している。今の体制で5年は厳しいかも。でもその後がない訳じゃない。SU-METALが疲れる姿は想像できない。我々の老後の楽しみが失われることはない(笑)。(小中氏)


Q:SU-METALは特別に歌が上手い訳ではないが、何故か胸に刺さってくる。他にこのような歌手はいるのか?

A:SU-METALは、今は物凄く歌が上手い。ギミチョコのアカペラ動画で、上下ではなく強弱のビブラートができている。他にこのような歌手・・・、前川陽子はSU-METAL並みだ。他はシーウィンドというバンドのポーリン・ウィルソンがベビメタ的で近いかも。どちらも昔の人。(小中氏)


Q:BABYMETAL試論の表紙の意味は?YUIMETAL推しなんじゃないのか?(←もう少しオブラートに包んだ言い方で。。)

A:3人分を作ったが、一番使える奴を使っただけ。深い意味はない。。自分の弟の娘はもう社会人だし、3人とも恋愛対象じゃないし・・・、誰推しでも良いじゃないですか!!(会場爆笑)(小中氏)


Q:私は、BABYMETALに関して、ずっとネットなどで皆さんのご意見や感じ方を追ってきた。一部ではやらされている・人形みたいだとの意見もあったりするが、自分としてはシアトリカル、劇でも良いと感じている。その辺りはどう考えているか。

A:煽りが増えていっているのを見ると、これからは徐々に地を出していくように思う。そして、皆がこうであって欲しいというのを逸脱して、BABYMETALはどんどん進化していくと思う。(小中氏)


Q:Tales of The Destiniesの魅力とは?アイドルがプログレを歌う前例はあったか。

A:前例は思い浮かばない(円堂氏)。この曲は、SU-METALの一番伸びやかで美味しい音域を使っている。まあドームでは声がひっくり返ったが・・。初演では結構ミスしてるけど、次回はきっちり直してくると思う。(小中氏)


Q:BABYMETALは英語で歌うのと日本語で歌うのとどちらが良いか?

A:コアなファンは日本語を望むが、よりマスなファンに訴え掛けるなら英語の方が良い気がする。(小中氏)


Q:チームBABYMETALに何か質問するとしたら、誰に何を聞くか。Only The FOX GOD Knowsなしで。

A:MIKIKO先生に、メギツネやおねだりを発注された時どう思ったか?(小中氏)

A:SU-METALに、お姉さんとの仲はどうなっているのか?←この日一番の会場爆笑!SU-METALじゃないときの姿をちょっとでも聞きたい。。(円堂氏)

A:(質問はほぼ出来ているので、)今まで質問した中で一番印象的だったのは、1stアルバム発表の頃にKOBAMETALとSU-METALの二人だけにインタビューしたときのこと。KOBAMETALからメタルの名盤など、教えを受けているのか?と質問したら、誕生日プレゼントで一回だけもらった、とのこと。SU-METALとKOBAMETALの関係性が垣間見えた。(柴氏)BABYMETALには、初期の頃からやらされている感を感じない。(小中氏)KOBAMETALは3人にメタルの教育をしていない。(柴氏)だから、3人はメタルに対してニュートラルな感覚を持っている。(小中氏)


Q:BABYMETALは、同じセトリでもライブ毎に出来が違うからDVDなどを全て欲しくなるが、これはBABYMETALに限ったことか?

A:洋楽的には、特にBABYMETALだけという事はない。同じ曲でも微妙な差異があるので。(小中氏)


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所感など

今後は、ブログBABYMETAL試論の方はぼちぼちやってく感じだそうだ。2ndアルバム、METAL RESISTANCEのプログラム批評は、1stと同じような熱量で書くのはもうちょっと難しいとのこと。


小中氏は、いつの頃からか、ある出来事について調べれば調べるほど、「歴史」というものは「歴史観」でしかないことが分かったのだそう。ある一つの共通認識というものはあるかもしれないが、ある出来事に対して、当事者と傍から見ている人ではどう感じたかが違うことが多い。つまりそこには物語がある。だからBABYMETALもいろんな見方ができる、というようなことを言っていたのがとても印象的だ。


BABYMETALはKOBAMETALがプロデュースしているが、KOBAMETALが想定しているような見方だけをするのではなく、全く別の味方、アホな見方ができるのが楽しいし、そうしていきたい。そう熱く語る小中氏。シャイで繊細な方のようで、話も上手いとは言えない。ただ、BABYMETALに対する熱量だけはしっかりと今回のトークショーで感じることができた。


今後のBABYMETAL試論も楽しみにしていきたいと思う。



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