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薬局で買った硫酸銅でパティーナ処理用の溶液を作る

普段使っている、市販のパティーナ処理用液が高価なので、薬局で売っている硫酸銅を使って自作してみようかと。


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SONY DSC-RX1R , 1/250, f/4.0, ISO100, Photo by eto

ステンドグラスのパティーナ処理用液

ケイムやハンダを黒っぽく染めるために使用する腐食用の液は、ステンドグラス界ではパティーナと呼ばれている。金属を瞬時に腐食させる、ということから分かるように、これらには例外なく劇物・毒物が使われており、具体的には、硫酸銅、二酸化セレン、希硝酸などが必ず含まれている。従って、決して容易に自作できるものではない。


自分が今まで使っていたものは、ステンドグラス専用ではなく、工業用の黒染剤(ブラッキーSN)だ。これは、容量が多くて高価なもの。丁度なくなって買わなければいけないタイミングであるため、今回、ちょっと大変だが、実験がてら似たようなものを自作してみようかと思う。


ちなみに、二酸化セレン系のパティーナは、毒性が強く、ガラスに着くと変色する、など良い話を聞かないので、特に今後も手を出すつもりはない。


硫酸銅の入手方法

巷で売られている硫酸銅は、正式には硫酸銅(Ⅱ)五水和物という青色のもの。水が一緒になって結晶化しているからこう呼ばれているらしい。別名は胆礬(たんばん)。→詳細(wikipedia)


薬局で手に入るのだが、その辺の大手ドラックストアや薬局などでは、ほぼ手に入らない様だ。毒物・劇物を扱うには特別な届け出がいるらしく、そもそも家の近所周りには対応している薬局が見つからなかった。色々問い合わせて、新宿区で一件、扱っているところがあったが、TELしたところ、一般人には売れないような感じに言われたりなんだりで・・・結局、都内では、墨田区にある薬局だけが店頭での販売を行っていた(自分の知る限りでは)。


そこへ行けば、身分証明書と印鑑、具体的な用途の記入が必要だが、店頭で即日入手することが可能だ。正式名称は、「硫酸銅(Ⅱ)五水和物、粉末 試薬特級500g」、2,268円(税込)。

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SONY DSC-RX1R , 1/250, f/4.0, ISO100, Photo by eto

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SONY DSC-RX1R , 1/200, f/5.0, ISO100, Photo by eto


以前はもう少し容易に安価で入手できたようだが、今は随分と厳しくなっているようだ。地下鉄サリン事件やらテロやらの影響だろう。


ちなみに、劇薬に指定されてはいるが、毒性は弱く、溶液を素手で触っても、手が少し青くなる程度で、特に酷いことにはならない(あくまで個人的な経験上)。





溶液を作って試してみる

濃さの違う溶液を何パターンか作り、染まり具合を試してみる。


硫酸銅(Ⅱ)五水和物の飽和溶液(最も濃くできる限界の溶液)は、温度によってかなり差があるが、今の室温(15度程度)ならば20~25%程度のようなので、とりあえず25%の溶液(水75g+硫酸銅25g)を作ってみる。


ペットボトルに計量した水を入れ、紙に載せた硫酸銅を、計測後にペットボトルの中へ入れ、蓋をして振って混ぜる。なお、調理用のデジタルスケールを使用しているので、そこまで厳密ではない。


結果、溶け切らずに、底に硫酸銅が沈殿した。飽和溶液の濃度は、もう少し薄くする必要があるようだ。20%程度だろうか。


従って、その次に15%、そして、10%、5%、2.5%の濃度で溶液を作り、順に試してみる。

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SONY DSC-RX1R , 1/200, f/5.6, ISO100, Photo by eto

25%と書かれたものは、硫酸銅が溶け切っていないため、実際には20%程度。


今回は、ケイムと、ケイムに全面ハンダしたものの2種類で試してみる。ケイムはマツムラメタルのFH6ソフト。成分は、ほぼ100%近く鉛だと思う。一方のハンダは、64ハンダなので、錫が6割に鉛が4割。


それぞれ、真鍮ブラシで表面を良く磨き、硫酸銅の溶液をスポンジで軽く擦り込んで、1分程度放置するやり方で試してみる。

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SONY DSC-RX1R , 1/80, f/7.1, ISO200, Photo by eto

これが結果だ。左から、25%、15%、10%、15%、2.5%の順。それぞれ、左がハンダで右が素のケイム。


光の加減で分かり辛いが、ケイムは・・・ほぼ全く染まらなかった。薄っすらと黒っぽくなったかな?程度しか染まらなかった。鉛は硫酸銅では鉛は染まらないのだろうか。これは意外な結果。


一方のハンダは、染まるには染まった。意外なことに、濃い溶液ほど、色が銅色でマダラになり、薄い溶液では、黒っぽく均一に染まる傾向が出た。今回行ったテストの範囲内では、溶液の濃度が薄いから染まりも薄い、という結果にならなかった。それどころか、色の濃さで言うと、2.5%の溶液が最も濃かった。


写真では分からないが、ケイムもハンダも、表面がうっすらと虹色になっている。良く見ないと分からない程度、うっすらと。





おわりに

今まで使っていたブラッキーSNは、有無を言わせずガッツリと染まるので、今回もそんな想像をしていたが、違う結果となった。ブラッキーSNは、硫酸銅が主成分なのは分かるが、他に何か別のモノが入っているのだろう。まあ、あんなに高価なのだから当たり前だけれど。

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SONY DSC-RX1R , 1/80, f/4.0, ISO2500, Photo by eto

ブラッキーSNを3倍くらいに希釈した溶液で染めたもの。


個人的には、染めは、あまり濃い色にならず、多少マダラで風合いがある深い感じを理想としている。それで言うと、今回試した中では、2.5%の溶液が一番近い結果となった↓。

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SONY DSC-RX1R , 1/80, f/4.0, ISO100, Photo by eto


ただ、そのままだと、ちょっと銅色が強く、酸化被膜の乗りが弱いな~という印象。そのまま使っても良いと思えるくらいの出来だが、もう少し理想を求めてみようと思う。


となると、やはりブラッキーSNを使うしかないかな、と・・・、高いけど。ブラッキーSNと今回作った溶液を混ぜて使えば、良い感じになるような気がする。試してみたい。高いけど。


なお、今回購入した500gの硫酸銅を2.5%の濃度で使うと、20リットルにもなる。この先数年は使えそうだ・・・。




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