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新 構成学 – NEW THEORY OF ART AND DESIGN

新 構成学 - NEW THEORY OF ART AND DESIGN という本を読みました。


ステンドグラスのデザインに大いに役立ちそうなので、レビューしたいと思います。

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構成学とは

構成学とは、かつて西洋人が究極のプロポーションとした黄金比とシンメトリーが、日本独自の伝統的な美学、非対称と余白の美、斜線のコンポジション、等量分割のプロポーションなどと統合され、20世紀に入って「バウハウス」というドイツの造形学校で体系化された色と形が織りなす造形の美学であり造形理論である -

引用元 - 新 構成学 p4

デザイン・芸術・アートなどを扇形で表したときの、その根元の部分とでも言いましょうか。一見、言葉では言い表せないと思われているようなものを、なんとか論理的にまとめた本です。学者の三井秀樹さん、という方が書かれています。


従って、実用的で具体的な内容というよりは、理論について書かれています。具体的には、どんな色が調和しやすいか、レイアウトの種類、特定の構図から受けるイメージなどです。


以下に、本書の中に出てくる要素を写してみました。これらの各々について、本書内では要点が述べられています。見ているだけで何かワクワクしませんか?

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すべての造形表現に形、色、材料とその材質感(テクスチュア)は、あまねく共通して存在する造形要素である。それゆえ、 これらの造形要素は、いわば文法の語、句、文にあたり、造形基礎言語とよばれ、造形を形づくる最小の単位となっている。


形を表現するとき、私たちは少なくともこの造形要素をいかに巧みに組み合わせ(アセンブリー)、構成(コンポジション)し、互いにそれぞれの関係を保ちながら、統合された形のまとまり(ユニティ)をつくりあげるというプロセスを経て、ひとつの作品やデザインをつくりあげていく。


そのプロセスで、全体の組み立てにあたるコンポジション、それぞれの割合や比例・比率のプロポーション、形と形のバランスや配置(レイアウト)や、リズム、シンメトリーなどの形式原理が複雑にからみ合い、全体的な調和をつくりだすのである。


こうした造形をつくりだす概念を、造形の秩序とよんでいる。そのうえで造形要素の基本的な性質や特徴をよく理解し、それぞれを掘り下げることによって、造形行為に際し、造形の組み立てを効率よくこなし、制作を行うための効率よくこなし、制作を行うための基盤をつくりあげるのである。

引用元 - 新 構成学 p17

印象に残った箇所

響く言葉が多々出てきます。

ほとんどが黄金分割やシンメトリーの構図や分割法に徹していた西洋絵画に対して、日本の絵画表現は、基本的に非対称のダイナミックなコンポジションの構図を駆使し、人を惹き付けるのである。

引用元 - 新 構成学 p23

人が芸術作品やデザインに接したとき、感動を覚え陶酔にも似た言い知れぬ美的な満足感を味わう。こうした場合、その作品やデザインにはユニティがあるからである。ユニティをわかりやすくいえば、造形表現上のいわばまとまり感であり、人を惹き付ける造形上の美的な秩序、つまり芸術的価値観なのである。

引用元 - 新 構成学 p91

かつて西洋では、いつの時代でもどこかで絶えず戦争が起き、天変地異の自然災害に悩まされ、疫病によって多くの人命が奪われたため、人々の心は世の中の安寧や秩序を願い、常に安定志向にあった。つまり、バランスの安定した絵画の構図や装飾模様、シンメトリーの建造物、庭園の形に常に目が向けられていた。


ところが近代工業化社会を迎えた20世紀に入ると、科学技術や医療の進展によって人々の生活は格段に豊かになった。こうした社会情勢の変化によって人々は安定よりも変化や未来志向の動き、つまり変化のあるバランスの構図を求めるようになったのである。


また19世紀中頃、西欧を席巻したジャポニズムによって、西洋の人々が非定型文化の斬新なバランス感覚を志向するようになったことも、その要因に加担したといえる。

引用元 - 新 構成学 p105

美術やデザインの表現では、最終的に表現としてのまとまりや統一感(ユニティ)をいかに上手につくりあげるかという表現上のさまざまな技法、つまり構成法がきわめて重要となる。表現での他の細かいテクニックがいかに巧みであっても、このまとまり感がないと表現のクオリティが下がり、全体の評価は低くなってしまう。

引用元 - 新 構成学 p134

シンメトリーは、ゆるぎない力強さと安定さにおいては、他のどんなコンポジションよりも強い表現力をもっている。逆に変化のない静的な配置ゆえに堅苦しく余裕のないイメージも与えかねないという点も考慮しなければならない。


ところが、そこに少しだけ変化の要素を加えることによって、現代的な感覚が生まれる。そのため、現代デザインでは、完全なシンメトリーよりも、むしろ亜シンメトリーのほうが好まれ、よく使われる。

引用元 - 新 構成学 p140

従来、色彩調和に関しては、多くの研究を基に理論や原理が提言されてきたが、この中で色相環上の関係で正三角形(トライアド)や正五角形(ペンタード)などの位置にある色相に調和がみられるとの説などが展開されてきたが、そのどの理論にも一長一短があり、実用的な理論・原理とはいい難い。


なぜならば配色とは、正方形同士のようにまったく同じ形状の形がぴったりと隣接しているとは限らず、その大きさも形状も異なるからである。


色彩の調和理論に合わない配色でありながら、時折、はっとするような魅力的な配色に出会うことがある。よく見ると面積の比率がきわめてアンバランスであり、多少ずれている色相が、逆に視覚の刺激値となっているのだろうか、私たちの色彩感覚を覚醒するのである。こうした色彩調和の難しさが、むしろアーティストやデザイナーの個性を引き立てているともいえるのであろう。

引用元 - 新 構成学 p75

調和関係にある配色でありながら、よい調和といえないような配色や、またあいまいな色相関係にある色同士であっても時には、目が覚めるような刺激的で独創的な配色に出会うこともある。


こうした現象は、どうして起きるのであろうか。理想的な色彩調和というのは、単なる機械的な色彩間の関係だけではない。私たちが調和すると感じる配色には、別の造形要素が関与しているためである。これは、色と色の面積の割合、つまり面積比、色同士の接し方と、色と色の明るさの関係、つまり明度差の明快さが決め手となるのである。

引用元 - 新 構成学 p79

「形体の美しさをつくりだすこと」はあくまで、これを評価する人間の視覚、つまり形の見え方の認知の問題にかかわっている。美しさは物理的な視覚現象による美だけでなく、あくまで人間の視覚生理から見た美しさをもっているか否かを感じる感性ということである。なぜなら美しさを判断する基準は、人間の視覚認知の限界(ものの見え方)が前提となっているからである。

引用元 - 新 構成学 p200

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評価

勉強になる良い本だと思います。

美というものは、美の形式原理や普遍美の上に、ほんのわずかの個人の独創性がドリップ(ふりかけ)されただけにすぎないのである。

引用元 - 新 構成学 p92

自分もこれと同意見で、普遍的な美や調和は、大部分が理論立てて説明できるようなものだと思っているからです。


また、本の構成も、図や写真が多く、文章も横二段のレイアウトでとても見やすいですし、学者の方だけあって、分類分けなどが凄いです。良くぞここまで、と言った感じ。


あと、ページ数はすくないですが色々と深いことが書かれているので、読み込むと新たは発見や気付きがありそう。行き詰った時にパラパラとページをめくるだけでも、沢山ヒントがもらえそうな本です。




強いて欠点を挙げるとすれば、以下のような箇所でしょうか。


  • 構成学の重要性や必要性、バウハウスなどの歴史的背景の記述が多い。
  • 細かい言葉の定義などが多い。
  • あるカタチや色から受ける印象・作用など具体的・本質的な事柄の記述にもっとページを割いて欲しかった。
  • 文章や言い回しがやや古臭い。

あと、ちょっと違ってるのでは?と思った箇所。

古代遺跡から発掘される遺物に描かれたり刻み込まれたパターンは、なぜか幾何学的な形が主であって、具象的な形ではない。鳥や植物をモチーフとしった紋様が登場するのは、時期はずれているが、それぞれの文明で幾何学的な紋様が定着し様式化した後にみられる現象なのである。


これは人間が、シンメトリーのもつ形の単純な数理的な秩序の美しさに目覚め、これこそが唯一人間が自然に対抗しうる造形であることを知ったからだろう。

引用元 - 新 構成学 p137

古代人は具象という高度な表現方法をまだ考え出せていなかった。それは丁度、子供が具象的な画を描けないのと同様のこと。具象画を描くには、高度な方法論と技術が必要だからなのでは?... 、と思いました。

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ステンドグラスのデザインにはどう使える?

ステンドグラスは、絵画などに比べると形が単純でデザインも抽象的なものが多いため、理論を適用しやすいと思います。


さまざまなコンポジションやレイアウトから受ける印象や、調和する構成、緊張感のある構成、色彩調和理論などを常に意識することで、常に及第点のデザインを書ける気がします。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO500, Photo by eto

最後に

今回ご紹介したのはごく一部です。


興味のある方は、是非ご一読をオススメします。






...趣旨から外れますが、この本はヨドバシ.comで買いました。


今まではほとんどamazonで買ってましたが、ヨドバシでも同じ流れで楽に買えるし、かつ、なんとポイントが付くんです!これは、驚きですね。


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これからはできるだけヨドバシにシフトしていこうかと思います。日本の会社ですしね。





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