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【ステンドグラス探訪06】旧井元為三郎邸(文化のみち橦木館)前編

【ステンドグラス探訪】シリーズの第6弾です


今回は、旧井元為三郎邸のステンドグラスをご紹介します!


引き続き、名古屋、文化のみちシリーズです。

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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO2500, -0.3EV, Photo by eto

旧井元為三郎邸(文化のみち橦木館)

井元為三郎邸は、大正15年(1926年)頃、名古屋市の中心部に近い撞木町に、洋館付和館住宅として建てられました。


当時、大正の終わり頃の名古屋は、明治の初めには9万人前後だった人口が、10倍の100万人を超え、東京、大阪に次いで三大都市の仲間入りをした時期であり、街はどこも活気に満ちた人々で溢れていました。


陶磁器加工問屋として事業を拡大していった井元為三郎は、サンフランシスコ、シンガポール支店を構え、輸出事業も手広く展開。敷地面積約600坪の広大な土地に洋館、和館、蔵2棟、そして移築されたといわれる茶室まで備えた屋敷を完成させたのです。


文化のみち橦木館(ぶんかのみち しゅもくかん)は愛知県名古屋市東区にある昭和初期の家屋。旧井元為三郎邸。


大正末から昭和初期(1926年頃)に、陶磁器の加工問屋として財を為した井元為三郎が建てた屋敷で、2階建ての洋館、平屋の和館と東西2棟の蔵、さらに京都から移築された茶席で構成される。1996年(平成8年)に名古屋市指定有形文化財に、2008年(平成20年)には名古屋市の景観重要建造物にも指定された。





ステンドグラスは以下の場所に入れられています。


  • 玄関(入口天上、建具、玄関欄間)
  • 和館への入り口欄間
  • 洗面所入り口
  • 旧応接室(現喫茶店)
  • 洋館2階、旧娯楽室

今回は、「玄関」と「和館への入り口欄間」、「洗面所入り口」にあるステンドグラスをご紹介します。




玄関、和館への入り口欄間のステンドグラス

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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO5000, -0.3EV, Photo by eto

建物に近づくと、早速ステンドグラスがお出迎えです。



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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO1000, Photo by eto

と、玄関前、天上へ目をやると、そこにもステンドグラスが。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO3200, -0.3EV, Photo by eto

真下から。これも当時のもの!?、のようです。ガラスはいわゆる「ダイヤ」と呼ばれるもの。和ガラスでしょうか。大正時代なので、一応国産の型板ガラスも存在したと思いますが、輸入品かもしれません。ステンドの線が妙に正確な幾何形体で驚かされます。


ステンドの外側の塗りの部分も星形になっています。凝った作りです。






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SONY DSC-RX1R, 1/60, f/5.6, ISO6400, -0.3EV, Photo by eto

玄関欄間のステンドグラスです。こちらもすっきり幾何形体。色も温かみのある落ち着いた感じですね。


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SONY DSC-RX1R, 1/60, f/5.6, ISO6400, Photo by eto

全て同じ幅のケイム+全面ハンダで仕上げられています。なかなか精巧な作りです。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO4000, Photo by eto

建物の中に入って、裏側から。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO5000, Photo by eto

ガラスは、クリアの部分は型板ガラスのハンマードとモールですね。外国産か国産かは不明です。オパールセントグラスも使われています。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO5000, Photo by eto

こちらは入り口の引き戸。モールの一枚板。ステンドではなく、鍛鉄か真鍮か何かの金属との合わせです。






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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO6400, -0.3EV, Photo by eto

中に入るともう一つドアがあって、もう一つ欄間があります。セキュリティが厳重です(笑)。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO5000, Photo by eto

ドアの縦長のステンド。、こちらもモールが使われています。あと薄いブルーのハンマードも。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO1250, Photo by eto

裏側から。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO3200, Photo by eto

こちらは欄間のステンド。上下左右対称のデザインですね。クリアと黄色系のガラスで統一されています。もうお馴染みの、ハンマードとモールがこちらにも。


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SONY DSC-RX1R, 1/40, f/8.0, ISO6400, Photo by eto






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靴を脱いで中へ入ると、また真正面にステンドが。和館への入り口欄間に、先ほどと同じパネルが2枚入っています。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/4.0, ISO2500, Photo by eto


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/4.0, ISO2000, Photo by eto

右のはちょっと割れて修復したあとがありますね。


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SONY DSC-RX1R, 1/60, f/5.6, ISO6400, Photo by eto

裏側から。ケイムの処理が独特な感じですね。フラットのケイムの端をつぶしているのでしょうか。なんか、カッパーフォイルを巻いたような、ガラスとケイムの間に隙間がないような仕上がりに見えます。だからパテもあまり見えません。






洗面所入り口のステンドグラス

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SONY DSC-RX1R, 1/50, f/5.6, ISO6400, Photo by eto

建物に入って直ぐに右側へ行くと、洗面所があります。その入り口にもステンドグラスが。これで早くも9個目。この建物、ここまではステンド尽くめです!


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これは今までと一転、有機的でちょっと手が込んでますね。


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イチョウと小鳥でしょうか。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/4.0, ISO4000, Photo by eto

落ち着いた色使いとまとまりのあるデザインですね。あと、鳥なんかはガラスの部分の使い方がとっても上手です。なんか、スッキリと洗練されてて今風に見えます。


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裏側から。ケイムで組んであると思うのですが、今見ていると一部はカッパーかな?とも思えてきますね、特に線が細いところは。次また行くことがあれば、どうなっているかしっかり確認したいと思います。





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SONY DSC-RX1R, 1/60, f/5.6, ISO6400, Photo by eto

奥へ進むと、1階は和館で純和風な趣です。ステンドはありませんが、とっても癒されます。






感想・評価


ここのステンドグラスは、全て、正真正銘当時のままのステンドグラスだそうです。建物が大正15年のものなので、その当時かその後の昭和初期に入れられたと思われます。


以前お伝えした旧川上貞奴邸とほぼ同じ時代の建物で、ステンドも同じくらいの時代に作られたものですが、デザイン、使っているガラスの種類、ケイムの種類や仕上げ方まで、全然違いますね。


この建物のステンドは全て梅澤鉄雄というステンドグラス職人の方が制作したことが分かっています。この方も川上貞奴邸を手掛けた宇野澤ステンド硝子製作所に在籍した職人さんですが、それでもここまで違うんですね。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO4000, Photo by eto


全て直線の幾何学的デザインでできた玄関付近のステンドは、線も粗密を考えてデザインされているし、ガラスも色数を抑えた落ち着いたデザインで、良い感じです。建物になじんでますね。


透明系のガラスも、モールやハンマードという特徴のあるものを使うことによって、平凡にならずインパクトが出ていると思います。特にハンマードは個人的に大好きです。


ちなみに、ハンマードは昔、露玉 (つゆだま)と言われていたそうです。言い得て妙ですね。


洗面所入り口のも、なかなかのものです。デザイン性が高いですね。抽象の仕方が上手いです。鳥の胴体なんかはほぼ真円になってますからね。ケイムの幅も、6mmと3mmのケイムが巧みに使われていて、メリハリが出ています。これは、プロの仕事とはっきり言える一品かと思います。川上貞奴邸にも鳥が枝にとまっているデザインがあったので、比べると面白いと思います。


技術的に見ても、全面ハンダも綺麗で、仕上げの具合も良く、しっかり丁寧に作られた感が伝わってきます。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/2.0, ISO200, Photo by eto




他にも色々と話したいことがありますが、それはまた次回に。


次回は、2階に上がって旧娯楽室のステンドをご紹介します。




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