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【ステンドグラス探訪07】旧井元為三郎邸(文化のみち橦木館)中編

【ステンドグラス探訪】シリーズの第7弾です。


前回に引き続き、旧井元為三郎邸のステンドグラスをご紹介します。


本日は洋館2階、旧娯楽室のステンドグラスです。

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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/4.0, ISO800, Photo by eto

梅澤鉄雄 / Tetsuo Umezawa

この建物にあるステンドグラスは、全て「梅澤鉄雄」作と言われています。


梅澤鉄雄は、東京にある日本で初めてのステンドグラス工房、宇野澤スティンド硝子工場草分けの職人で、大正10年頃、名古屋市中区老松町(現在の新栄)に、名古屋で唯一のステンドグラス製作所を開きました。


代表作に岐阜県庁舎の作品がありますが、それ以外は全く知られていません(少なくとも、WEBや本には情報がありません。。)。


きっと、今もまだ知られていないだけで、どこかに他の作品があるのだと思います。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO400, Photo by eto

1階洗面所の横にある階段を上がると、旧娯楽室があります。こちらは部屋の前のクリスマスツリー。和紙でできた、なんともお洒落で和テイストなツリーです。






旧娯楽室のステンドグラス

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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO400, Photo by eto

部屋の中にある欄間のところ。横長の3枚。両端下のアンバーのは、ステンドではなく板ガラスです。


窓際にも欄間がありますが、元々はここにもステンドが入っていた気がします。ゲームをする人が部屋の中へ、待ってる人が窓際の椅子に座って談笑しているのが目に浮かびます。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO640, Photo by eto

星とスペードをあしらったようなデザインです。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO400, Photo by eto

こちらにはクラブとダイヤが。ケイムはFH-6の一種類で統一されています。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO400, Photo by eto

四角の水色のガラスは、玄関天井の星と同じガラスですね。それ以外も、1階玄関付近のパネルと同じガラスが多々使われています。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO1000, Photo by eto

1階のパネルと違い、西日が当たってとても綺麗です。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO800, Photo by eto

色数は多いですが、そんなに騒がしい印象はなく、上手くまとまっています。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO4000, Photo by eto

透け感が綺麗です。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO800, Photo by eto

下のガラスはダイヤのアンバーです。上のステンドに使われているのより少し色が濃いですね。





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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO2500, Photo by eto

裏側です。


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ガラスが瑞々しいです。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO2000, Photo by eto

透明系のガラスが透ける一方、オパール系は全く透けず。その対比が良いです。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO2000, Photo by eto

ケイムの仕上げ方が良くわかります。独特の感じですね。旧川上貞奴邸のパネルとは全然違います。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/8.0, ISO1250, Photo by eto


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/8.0, ISO1000, Photo by eto

そばの壁に書かれた説明書きに、このように書かれています。


「ドイツ、オーストリアに興った分離派(ゼセッション)の影響を受けたデザインとアメリカン・アール・デコを彷彿とさせるデザインが、実にさりげなく使われています。」


「アメリカンアールデコの意匠は、昭和に入ってから瞬く間に日本中に広まり、建築をはじめ、室内装飾、装身具、日常生活用品など、あらゆるところに波及していきました。橦木館のステンドグラスはこの流行に先駆けた作品といえます。」


・・・、勉強になります。






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斜めから見るとまた違った趣があります。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/4.0, ISO800, Photo by eto


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/4.0, ISO640, Photo by eto


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再び1階の和館へ。


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モノクロ写真のようですが、カラーです。台所付近だったと思いますが、クリアのダイヤが使われています。






感想・評価

デザインは上品なシンメトリーで、トランプのマークのようなものをモチーフにしています。娯楽室ということで、ここでトランプゲームに興じていたのかもしれません。麻雀でも良いですね。


ステンドグラスの外側の帯がアンバーで、ステンドの下のガラスもすべて同じ種類のアンバーなので、部屋全体で統一感・全体感が出ています。アンバーは同じ系統の色である茶色の木枠にも良く合っていますね。


ガラスのテクスチャも、ダイヤ、ハンマード、きつめのグラニトなどの凹凸が激しいものがほとんどなので、テクスチャにも統一感があります。かつ、全体がキラキラと光を拡散させてとても綺麗です。ガラス単体でも十分綺麗なガラスばかりです。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/4.0, ISO500, Photo by eto


色も、全体的にトーンを合わせつつ、ブルーの星や中央の水色ダイヤを使った市松模様のところでちょっと冒険することにより、程よい緊張感を生み出しています。雰囲気も、大正ロマン感が凄いです。建物にもばっちり合ってます。


図柄の配置も、クラブとダイヤが横向きだったりスペードが斜め向いてたりと遊び心が感じられます。この不思議な感じ、良くわからない感じがまた良いです。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/2.0, ISO1250, Photo by eto


梅澤鉄雄が、デザインからガラス選び、制作まで一人で全て全ておこなったかどうかは不明ですが、自由な発想でデザイン性が優れていて、ガラス・ケイムのチョイスも良く、仕事も丁寧。なかなかの人物だったのだと思います。他の作品もいつか発掘されればと切に願います。是非見てみたいですね。





次回は、最終回の後編。1階に下りて旧応接室のステンドグラスをご紹介します。




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