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【ステンドグラス探訪10】カトリック主税町教会

【ステンドグラス探訪】シリーズの第10弾です


今回は名古屋市東区のカトリック主税町教会に入っているステンドグラスをご紹介します。


「主税町」はこの教会がある場所の地名ですが、これでなんと「ちからまち」と読みます。

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SONY DSC-RX1R, 1/125, f/5.6, ISO100, -0.3EV, Photo by eto

カトリック主税町教会

カトリック主税町教会(カトリックちからまちきょうかい)は、愛知県名古屋市東区主税町にあるキリスト教(カトリック)の教会およびその聖堂である。一般には聖母教会(せいぼきょうかい)とも呼ばれる。


この地にカトリック教会が置かれたのは1887年(明治20年)のことである。名古屋・岐阜地方に初めてカトリックの宣教を行なった医師 井上秀斎とパリ外国宣教会のフランス人宣教師 テュルパン神父が、当初は現在地にあった武家屋敷を購入し、長屋を改築して教会として使用。1904年(明治37年)、後任のシェレル神父によって現在の原形となった聖堂(礼拝堂)が建てられた。この礼拝堂を初めとする本教会の施設のいくつかは、その歴史的価値を評価されて文化財などとして登録されている。


1912年(大正元年)、パリ外国宣教会は関東地方の宣教を行なうこととなり、名古屋地区が神言会に引き継がれた後も、長らく東海・北陸地方の伝道の中心であった。

この教会は、以前お伝えした橦木館から歩いて少しのところにあります。名古屋「文化のみち」エリアの一部です。






入り口周辺の色ガラス

こういう街中にある教会にフラっと行くのは初めてかもしれません。人はいませんが、ドアが開いていて勝手に入れるんですね。新鮮です。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO2500, -0.3EV, Photo by eto

入ってすぐの玄関に、色ガラスがはまってます。これは鉛のケイムが使われておらず、木の桟に色ガラスがはまっているので、ステンドグラスではないですね。どちらかというと、障子の部類になるかと思います。いわゆる吾妻障子ですね。


ガラスは、すべて和ガラスのダイヤのようです。意匠は十字架を模ったと思われます。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO5000, -0.3EV, Photo by eto

そして、玄関と本堂の間に、また色ガラスの吾妻障子が入っています。ここちらも十字架模様。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO6400, -0.3EV, Photo by eto


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SONY DSC-RX1R, 1/30, f/5.6, ISO6400, -0.3EV, Photo by eto

ガラスは梨地のクリアとCXのアンバーでしょうか。






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SONY DSC-RX1R, 1/30, f/5.6, ISO6400, -0.3EV, Photo by eto

本堂はこんな感じです。結構広いです。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO200, -0.3EV, Photo by eto

奥にもう一つ、入口のと同じのがあります。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO400, -0.3EV, Photo by eto


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO200, -0.3EV, Photo by eto

外側から。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO500, -0.3EV, Photo by eto

木の桟が、きっちりとシリコンのようなもので固定されています。






屋根裏のステンドグラス

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SONY DSC-RX1R, 1/60, f/5.6, ISO6400, -0.3EV, Photo by eto

屋根裏と題しましたが、もっと別の言い方がある気がしています。2階部分の真ん中、この教会の一番メインとなるステンドグラスです。赤と黄、二つの十字架をあしらったデザイン。横に走る建物の梁が邪魔です・・・。


このステンド、RX1Rで普通に撮影しても、逆光でハレーションが出るので上手く写りません。ただ、現像時、Camera Raw でハイライトを思いっきり下げると、このように何とかなります。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO6400, -0.3EV, Photo by eto

・・・決して内側からは全体像が見えないのが残念です。


円形ですが、デザイン的に「薔薇窓」とはちょっと呼べないですね。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO6400, -0.3EV, Photo by eto

このデザイン、嫌いじゃないです。アシンメトリーなところとか、色使いのシンプルなところとか。






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SONY DSC-RX1R, 1/160, f/5.6, ISO100, -0.3EV, Photo by eto

表からは全体像が良く見えます。


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SONY DSC-RX1R, 1/160, f/5.6, ISO100, -0.3EV, Photo by eto


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SONY DSC-RX1R, 1/160, f/5.6, ISO100, -0.3EV, Photo by eto

2個上の写真の部分アップ(撮影時の実寸)です。さすがルクシル。






祭壇横のステンドグラス

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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO6400, -0.3EV, Photo by eto

遂に発見しました。「文化のみち」のパンフレット表紙に大きく載っているステンドグラスです。


この辺りのエリアでは、建物によっては土日にボランティアの方説明してくれるサービスがあったりするのですが、以前そのボランティアの方に伺った時も、このステンドの在り処が判明しなかったのです。それだけに、発見した嬉しさはひとしおですね。


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SONY DSC-RX1R, 1/60, f/5.6, ISO6400, -0.3EV, Photo by eto

使われているガラスからすると、そこそこ新しいものです。琥珀色の部分はサンゴバンのモニュメント・アンバー、濃い緑がスペクトラムのハンマードっぽいもの、外側の薄い緑はおなじみのCXですね。赤と白のガラスはメーカー不明です。


ケイムは、中はフラットの8mmくらいので統一されています。あと、裏から×の字に補強が入っているようです。





感想・評価

なかなか雰囲気のある教会です。こんなところで結婚式とかしたら素敵でしょうね。


教会ということもあり、あまり期待していなかったのですが、ちゃんとしたステンドが入っていました。個々に見てみましょう


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO6400, -0.3EV, Photo by eto

クリアのバックに赤・青・黄の原色が綺麗に映えてます。現代的で飽きのこないデザイン。アールデコ調とも言えますね。教会のステンドグラスというと、どことなく野暮ったいイメージがあるので、このようなすっきりしたのは珍しい気がします。


色にインパクトがあるし、神聖な感じも出てますね。飽きのこない非対称なデザインもグッドです。


一つ難があるとすれば、赤い十字架の右端や黄色い十字架の上の箇所のガラスの形。もう少し何とかならなかったかなと思います。この部分、「制作時、ガラスが切れない形になっていたのでその場で縦横斜めに線入れました」感が出ちゃってます。デザイン段階から計画的に進めればこうはならなかったのでは、と思ってしまいます。まあ、あまり目立たないので致命的ではないですが。


遠いので技術的な細部は良く分かりませんが、裏からの写真を見る限りは、部分半田で普通の仕上げです。


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SONY DSC-RX1R, 1/80, f/5.6, ISO5000, -0.3EV, Photo by eto

一方で、祭壇横のステンドは目の高さなので、出来がよくわかります。


デザインは、まあ普通ですね。アールヌーボー調と言えなくもないです。これも十字架をイメージしたのかなと思います。自分だったら、屋根裏のやつと同じデザインで作ったと思います。そうした方が建物全体での統一感が出ます。もう少し言うと、吾妻障子のデザインも同じにした方が良いです。デザインが無理なら、せめてガラスの色だけでも。


デザインについては、もしかしたら、キリスト教的に何か意味がある図案かもしれませんので、これ以上言うのはやめておきましょう。


色使いについては、今のままでも悪くはないですが、外側の薄いグリーンがちょっと彩度が低くて暗い色なので、全体の雰囲気を暗くしています。ここを他と同じように明るい色にすると、全体感がもっと出たと思います。別の見方をすれば、外側が暗いので、内側が明暗対比で綺麗に映えて見える、と言えなくもないですが。


ちなみに自分だったら、色だけ変えるとしたら、上の円窓と同じく、赤・黄・青のビビットカラーにします。クリアとホワイトを使えば何とかなりそうです。


技術的には、あまり良くないですね。パッと見は問題ないですが、左右上下対称のデザインにも関わらず、結構線がずれています。また、ラインが綺麗に出てない箇所もありますね。直線部分が曲がっちゃっているのを見ると、何でかな?と思わずにいられません。これは、気を付けていれば防げることであり、作者にそのような素養がなかったか美意識が低かったか何かだと思います。残念です。あと、ビビッドな方の緑のガラスが裏表逆なようですが、何故でしょう?


また、パテのはみ出し具合が、突貫工事だったことを伺わせます。こうなると、せっかく綺麗に組んで綺麗に半田をしても台無しですね。まあ、余程ひどくなければ、作る側の人間しか分からないことですが、一般の人でも、潜在意識レベルでは気づいていると思います。もや~っとした、言葉に出来ない違和感の正体はそんなところから来ているのだと思います。




いつも思うのが、もう一手間掛ければグッと良くなるのにな、ということです。この点は料理と同じですね。


特にデザイン。ステンドグラスを知らない人がデザインしたものをステンドグラス用の図面にするときに、もう一工夫が欲しいです。具体的には、デザイナーとの話し合い・調整や、作者自身のアレンジです。


次回、教会つながりで、この近くの布池教会をご紹介します。ここのステンドは屈指の規模で、圧巻です。お楽しみに!




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